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日記と小話
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十六夜読んでない方ごめんなさい。
後で加筆修正してアップします。

禁門の変で焼け、新しく移転した小萩屋。
当然ながら、長州派の維新志士の宿となっていた。



弾む気持で宿に帰ってきた薫に声をかける者がいた。
巴だった。
以前と同様、巴はこの宿で働いていた。
働き者で、その上美人な巴の評判は良かったが、緋村以上の無愛想で有名だった。

「神谷さん、お帰りなさい」
「巴さん、ただいま。」
無愛想で無口な巴だが、薫には親しくしてくれる。
薫にとっては、薫の秘密を知っている数少ない中の一人であり、姉のような存在だった。

「…薫さん、何かいいことありましたか?」「えっ?」
「とても嬉しそうな顔をしていらっしゃいますよ」
薫は自分の頬に手を当てた。
確かに緩んでいるかもしれない。

緋村抜刀斎…いや剣心が帰ってくる。
それ以上の喜びは、今の薫にはなかった。

「もしかして、緋村さんが帰ってくるのですか?」
考えている事をあてられ、薫は焦った。
「何でわかるんですか?」
「わかりますよ。
神谷さんは、わかりやすいですから。」

「僕ってそんなに単純ですか?」
「素直ってことですよ。
緋村さんはいつ頃お帰りに?」
「今晩みたいです」
「今晩ですか。良かったですね。
今回は長かったから。」
薫は頷いた。

逢えないということは、不安を募らせる。
怪我はしてないだろうか?
ご飯はちゃんと食べているだろうか?
今何をしているのだろうか?
いつもそんな事を考えてしまう。

彼を信じている。
それは嘘じゃない。
だけど、不安になるのだ。
こればかりは、仕方がない。
どうしようもない。

好きだから、大切だから心配になるのだ。

「神谷さん。そんなにソワソワしていても仕方ありませんよ。
まずはご飯を食べに来てください。」
巴にそう促された。
「そうですね。わかりました。」
薫は微笑んだ。


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